「自分を認めることが、限界を決めない自分につながっていく」
業務内容 ■BAKE CAFÉ N’s Kitchen&laboを経営。店内ではこだわりの小道具・雑貨も販売。 ■マルシェ出展 ■ケータリング ■パンのオリジナルギフト企画・販売 |
起業しようと思った理由、きっかけ
看護師として14年間働き、結婚を期に退職してからは、何か自分を表現できることや居場所を探していました。当時、流行っていたパン作りにハマり、おうちカフェで友人を自宅に招くことが楽しみでした。SNSで写真をアップしフォローされることも喜びでした。
その頃、夫の勧めで公民館の朝市に出店し、それをきっかけにパンを売る機会が増えました。自分のパンで人が喜ぶことが自分のやりがいになり、子どもが小1になる頃には興居島で島カフェを開きたいと思うようになりました。そんな時、義母が脳出血で倒れ介護のため同居することに。マンションで一緒に暮らすうちに、子どもがストレスを感じで体調不良になったため、夫の実家(興居島)からほど近い三津へ引っ越しました。私がパン作りをしていることを知った三津商店街の皆さんが、パンを販売するよう背中を押してくれたのが、起業のきっかけです。
商店街の格安物件を、三津花火大会に合わせて手作りでリフォームしてオープンしました。
介護と子育てのダブルケアで家族との時間を作るために週一回の販売でのスタートでした。
起業して良かったこと
開業当時は同じタイプのパン屋がなく、起業のためにどの情報がほしいかさえわかりませんでしたが、地域の方の助言があってオープンできました。三津は人情味あふれる場所です。地域の協力や愛情を感じながら私のお店も子どもたちも地域で育ててもらっていると感じます。
また、お客様が「なっちゃんに会いにきたよ」、「なっちゃんのパンが食べたい」と言ってくれることが幸せです。
お客様のリクエストでイベント開催やケータリング、ウエディングギフトや一歳のお誕生日を祝う一升餅ならぬ“一升パン”などオリジナル商品の企画・販売ができ、お客様と一緒に店を育てていけることに満足感を得ています。
現在の課題
パン作りは私のやりがいであり、自己表現の場です。自信をもって商品をだすために、材料の買い付けや仕込みにこだわり、一切妥協していません。
しかし、当時は育児や介護の事情から週一回の販売だったため、一部の人からは“趣味程度”と評価され、本気度が伝わらないジレンマがありました。営業時間が短いだけで軽視され、自分の表現したいことと求められるものとのギャップに苦しみました。それは、公務員であった夫が体調不良で退職し、夫婦でカフェを経営しながら営業日を週四日に増やしました今も感じていることです。
また夫には、今の店の裏側に体操教室を開きたいという夢があります。夫のおかげで私の夢は叶い、今なお進んでいます。そんな私にとって、夫の夢を叶えることも夢の一つであり、プラスの課題です。
そのほか、パン作りの作業は自分一人で行うため作業効率の悪さが課題です。体調によっても左右されるので体力維持を心がけています。限界を決めるのは自分次第なので、自分との闘いです。やりたいことを実現するために、問題をクリアしていく繰り返しで毎日が選択の連続です。
ご自身のワークライフバランスについて
自宅兼店舗のため、ONとOFFのメリハリがつきにくく、仕事の時間が生活の多くを占めています。作業効率を見直して、休みをしっかりとれるようにしたいと思っています。私にとって「パンは自分を映し出すもの」であり、「店は周りの方の心のよりどころ」です。心を込めてパンを焼き続けることができるように、生活のバランスを整えることも大切にしたいと思います。
また、介護と育児のダブルケアは暗いイメージを持たれますが、私は“自分の守りたいものは何か”を大切にし、自分が後悔しないように関わるようにしています。ケアマネジャーからもパワーをいただき、この期間を貴重な時間と受け止め、明るく過ごしています。
何かをはじめたい女性へメッセージ
何か小さなことでも、自分の居場所や表現することが出来るのは、素敵なことだと思います。具体的なビジョンを持って周囲の方へ思いを伝えていけば、チャンスに巡りあえると思います。
できないことを考えている間はなく、どう問題をクリアしていくのか決断の連続です。選択してきた自分を正解だと思い、認めてあげてください。